夏きものの愉しみ

季節はすっかり秋めいて、空は高く、吹く風も爽やかに。

あっという間に涼しくなってしまって、納涼歌舞伎のために、あれやこれやと考えていた装いを慌てて考え直そうとしましたが、紗や絽の生地の薄物を着られるのは八月いっぱい、どんなに長く着ても九月の初旬、処暑まで位かなぁと押し留まりました。

しかし、季節は立秋・・・。

やはり秋のテイストは何かで演出したいと、結局、用意していた羅の帯を「ススキの穂に月ウサギ」の柄のものに変えることにしました。

季節の先取りは、和洋問わず、お洒落のセオリーです(笑)

これで、透け感の高い紗のきものもグッと落ち着き、初秋の装いとして相応しい感じになりました。

今年の夏は、もう一枚、薄物として絹の紅梅織りのきものを新調しました。

同じ紅梅織りでも綿のものはゆかたの扱いになりますが、絹であれば夏のきものとして重宝するだろうと考えてのことです。

初めて袖を通したのが、六月の歌舞伎座の公演でしたが、今年は夏の訪れが早く、梅雨の晴れ間に気温がぐんぐん上がっておりました。

さすがに、単衣では暑かろうと、この絹紅梅にしたものの、薄物を身に付けるにはやや早すぎるような気後れがあって、帯は梅雨の時期に合わせて、鳥獣戯画風の蛙とうさぎの柄の名古屋帯を選びました。

夏の始まりにも、今回のコーディネートと似たような発想で、季節感の微調整をしていたことを思い出し、改めて紹介させていただきました。

間もなく、単衣の季節がやってきます。

季節の変わり目、四季のある国に生まれたことに感謝しながら、お洒落を楽しみたいと思います。

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