半幅帯（はんはばおび）の勧め

台風が去って、すっかり暑い夏が戻ってきてしまいましたね。

それでも、朝晩は秋風が立つようになって、だいぶ過ごしやすくなってきました。

そろそろ一年の中でも「きもの」を一番楽しめる季節がやって来ます。

日ごろから、「きもの」に関するさまざまなご相談を受けておりますが、ライフワークと考えているのは、やはり普段の生活シーンにもっと「きもの」を取り入れていただけるように、お勧めしていきたいなぁということで、ちょっとした日常のお出掛けに、お洒落着の一つとして「きもの」もあって欲しいということです。

秋は特に、旅行や文化行事が盛んになる季節なので、是非、その機会に、「きもの」でお出掛けになっていただければと思います。

そこで、お勧めしたいのが「半幅帯（はんはばおび）」です。

「ゆかた」を着る時に結ぶ帯ですよ、と申し上げれば、みなさん「あぁ」と言っていただけるかもしれませんね。

最近はリバーシブルになっているものが多いので、１本で２本分の価値があります。素材も様々で絹からポリエステル、ストレッチ素材になっているものもあり、上手に選べば、初心者にとっても大変締めやすくなっています。

麻亜家の着付け教室でも、夏は「ゆかた」に限定したプログラムを設けていて、初心者の方にも、先ずは「ゆかた」からどうですか？とお勧めしていますが、「ゆかた」に使う帯が「半幅帯」です。このため、「半幅帯」を「ゆかた」用の帯と思われている方が多いのですが、実は、半幅帯は帯の原形に近く、昭和30年代くらいまでは、一般的に、一年を通して普段着の帯として用いられていました。ちなみに名古屋帯や袋帯は江戸時代に身分の格付けや格式、お洒落、贅沢を極めるために発達したものです。

半幅帯は、紬や小紋に良く似合い、軽くて、結び方も自由です。帯揚げや帯締め、帯板、帯揚げも必要ありません。着付けがいかに簡単かお分かりいただけますか？着付けた後も、ウエスト周りに締め付けるモノが少ないですし、背中に背負っているものも小さいので（ほとんど平らにする結び方もあります）、身のこなしがだいぶ軽くなります。

私は旅行の時に和装にする場合は、専ら、紬に半幅帯の組合せです。

きものや帯はペタンコに畳めるので、荷物も嵩張らずに重宝なのです。

是非、この秋は、半幅帯でお洒落を楽しみませんか。