鼻緒の挿げ替え・・・草履や下駄の修理

街から「履き物屋さん」が無くなって久しくなりました。履き物専門店がある場所はかなり限られていて、銀座とか、向島とか、深川とか、浅草とか・・・きもの文化が生きている街や地方にあることがほとんどです。

私の幼少の頃は、身近な商店街に一軒は履き物屋さん(草履や下駄を扱っているお店)があり、靴も売っていましたが、今の靴屋さんには草履や下駄はありませんね(笑)。どうしているのかと言えば、呉服屋さんで購入することがほとんどです。

困ってしまうのが修理で、先日、お気に入りの草履の鼻緒がぶつりっと切れました。テレビドラマの時代劇でよく見掛ける光景を自分で再現することになりましたが、突然不確かになった足元に上体が宙に泳いだときは慌てました。何とか踏みとどまりましたが、その後、色男が登場して、肩を貸してくれるわけでもなく、懐から手拭を出して鼻緒を挿げ替えてくれるわけでもなく・・・。幸い、帰り道のことで、家から数百メーターのところでしたので、家人に電話をしてサンダルを持って迎えに来てもらうことになりました。出先だったらと考えると冷や汗ものです。履いていて、鼻緒が緩んでいた感じが全くなかったので、こんな風に切れることもあるのかと驚きました。

ちなみに、鼻緒が切れると縁起が悪いというのは迷信ですから、ご心配なさらないでくださいね。

実は、鼻緒が切れる前に、手持ちの下駄や草履の中で、踵の減りが気になっているものが幾つかあり、鼻緒が傷んで新しいものに挿げ替えたいと思っていた草履もあったりで、だんだん履けるものが無くなってきて、さてどうしたものかと考えていたところでした。

銀座に何足も下駄や草履を持っていくのも気が乗りませんでしたし、また、取りに行かなければならないわけですし、遠すぎる・・・。

そんな時に、最寄りの地下鉄から数駅行った先の老舗の呉服屋さんに浅草の草履職人さんが出張展示にいらっしゃると聞きつけ、早速行ってきました。

鼻緒の挿げ替えに出向いたときの紬と半幅帯

踵の修理と鼻緒の挿げ替えは、その場ですぐに対応してくださり。待っている時間には職人さんから草履や下駄にまつわるいろいろなお話を伺うことができました。修理が無理なものもあり、その分は一揃い新調することにしました。それは、来月に上がってきます。

また一つ、ご縁をいただきました。

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